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ビジネスレター(ビジネス英語での手紙)

最近は、ビジネスではeメールで連絡することが多くなりましたが、セキュリティの関係などから、正式な注文や取引の開始など節目となる場面では、eメールではなく、ビジネスレター、つまり、実物の手紙のかたちでやり取りすることも少なくありません。ビジネスレターは、形式がある程度決まっていますので、それに則って進めていけば、比較的簡単に作成することができます。ここでは、「①ビジネスレターの形式」、「②問い合わせの例文」、「③注文の例文」の3つに分けて解説します。

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ビジネスレターの形式

ビジネスレターの形式はインデントの有無や日付等の位置によって複数に分類されますが、ここでは、比較的よく使われる形式を紹介します。

(1)フル・ブロック・スタイル(Full-Block Style)

フル・ブロック・スタイルの形式は、以下のとおりです。

 


 

① Letter head

 

② 日付(Date)

 

③ 書中宛名(Inside Address)

 

④ あいさつ(Salutation)

 

⑤ 件名(Subject)

 

⑥ 本文(Message)

 

⑦ 締めの文章(Conclusion)

 

⑧ 結語(Closing salutation)

 

⑨ 署名(Signature)

 

⑩ 追伸(Postscript)

 


 

解説
フル・ブロック・スタイルは、ビジネスレターに記入するそれぞれの要素を、すべて左側に揃える形式です。アメリカでは最もポピュラーな形式です。インデント(字下げ)が入らないので、タイピングするときに効率が良い方法と言えます。

 

各要素の意味は、以下のとおりです。

 

① レターヘッド(Letter head) レターヘッドとは、便箋の上部に記入する差出人の情報のことです。社名、住所、電話番号のほか、必要に応じて、FAX番号、e-メールアドレス、会社のURLなどが記載されます。

 

② 日付(Date) 手紙を差し出す日付です。アメリカ式とイギリス式で表記方法が違います。例えば20XX年1月10日と書く場合、それぞれ次のように書きます。
アメリカ式:January 10, 20XX イギリス式:10th January 20XX
なお、イギリス式で日付を書く場合、1日は「1st」、2日は「2nd」、3日は「3rd」、それ以降は「4th」「5th」など「th」を付けます。

 

③ 書中宛名(Inside Address) 封筒に記入する宛名(Outside Address)に対し、手紙の中に書く宛名を書中宛名と言います。開封された後、封筒と手紙が別々になった場合に備えて、封筒と同様に役職や部署名なども記入しておくほうが望ましいです。

 

④ あいさつ(Salutation) 日本語の手紙で「拝啓」に当たる部分です。ビジネスメールと同様に、相手の名前がわかるときは、「Dear~」で呼びかけます。相手の名前が分からないときは、「To whom it may concern(ご担当者様)」などと記入します。

 

⑤ 件名(Subject) ビジネスレターを受け取った人が、一目見て分かるような簡潔かつ具体的な件名を記入しましょう。件名の付け方はこちらをご覧ください。

 

⑥ 本文(Message) 件名の下に、1行空けて書き始めます。解釈が分かれるような曖昧な表現や多義的な単語は避け、なるべく簡潔かつ明瞭、そして具体的に書くことが大切です。そうすることで、お互いに後で検索する際にも役立ちます。

 

⑦ 締めの文章(Conclusion) 最後の締めくくりの文章です。日本語の手紙の「よろしくお願いいたします(Thank you for your cooperation.)」「お早目のご連絡をお待ちしております(We look forward to hearing from you soon. )」などの部分に当たります。念のために言うと、「Look forward to」の後は、「~ing」と動名詞が来るので、くれぐれも注意してくださいね。

 

⑧ 結語(Closing salutation) 日本語の手紙の「敬具」「草々」に当たる言葉です。「Regards,」「Best regards,」「Sincerely yours,」などが使われます。

 

⑨ 署名(Signature) 英文のビジネスレターでも、日本語の手紙と同じく、差出人の名前を最後に書きます。ただし、手書きの署名を入れますので、結語から3~4行空けて名前を入力しましょう。

 

⑩ 追伸(post script) 本文中に入れ忘れたこと、あるいは念のために付言しておきたいことは、「追伸」の形で記載することがあります。一般的には、「P.S.」と表記し、できるだけ簡潔に書く必要があります。なお、もし本文の流れを乱さないような内容であれば、わざわざ追伸の形をとるのではなく、本文中にきちんと入れ込む方がよいでしょう。本文中に書けるのに、わざわざ追伸を添えるのは、かえって無礼と受け止められる可能性もないとは言えないので、注意が必要です。

(2)セミ・インデント・スタイル

セミ・インデント・スタイルの形式は、以下のとおりです。

 


 

① Letter head

 

② 日付(Date)

 

③ 書中宛名(Inside Address)

 

④ あいさつ(Salutation)

 

⑤ 件名(Subject)※5文字のインデント

 

⑥ 本文(Message)※5文字のインデント

 

⑦ 締めの文章(Conclusion)※5文字のインデント

 

⑧ 結語(Closing salutation)

 

⑨ 署名(Signature)

 


 

解説
セミ・インデント・スタイルは、主にイギリスやアメリカで広く使われている形式です。

 

①~⑨の内容は、上記のフル・ブロック・スタイルと同じです。ただし、一部の要素は、記入する位置が違っていて、②日付、⑧結語、⑨署名は右寄せになります。

 

また、⑤件名、⑥本文、⑦締めの文章は、それぞれ5文字ずつインデントします。

問い合わせの例文

形式がある程度わかったところで、実際の例文を見てみましょう。まず、簡単な自己紹介をした後、相手先に、問い合わせようと思った経緯を伝えます。

 

We are the home appliance manufacturer in Japan.

当社は、日本の家電メーカーです。

We read your advertisement in the “ABC” some days ago.

先日、「ABC」紙で、御社の広告を拝見しました。

We are very interested in your dishwashers.

当社は貴社の皿洗い機に非常に興味を持っております。

解説
問い合わせは、貿易用語では「引合い(inquiry)」と言いますので覚えておくとよいでしょう。引合いの際には、まず、どのようにして相手企業の商品を知ったのかを書きます。ここでは、「read your advertisement」で「広告を見た(読んだ)」と書いています。

 

「advertisement」は、正確には「広告物」という意味です。これに対して、「広告活動」は「advertising」と言います。ほぼ同じ意味として使われていますが、少しだけニュアンスが違うので、気を付けておきましょう。

 

ところで、広告主が広告料を支払わずに、マスコミに報道してもらう活動は、広告(advertising) ではなく、パブリシティ(publicity)と呼ばれています。パブリシティは無料ながら、広告以上の社会的影響力をもつことがあります。したがって、その巧拙がプロモーション戦略全体の成否を決めることもないとは言えないので、非常に重要です。

 

なお、ピーアール(PR)は「Public Relations」の略で、様々な場面での広報活動を含めて、大衆との関係をよくする活動全般を指しています。ついでに言うと、「IR」という表現もありますが、これは「Investor Relations」の略で、「投資家向け広報活動」を意味しています。

 

さて、相手方の商品を知った経緯を述べた後は、具体的にその商品に興味を持っていることを伝えます。ここでは、「be interested in~(~に興味をもっている)」と表現しています。

 

製品について詳しく知りたいことを伝える場合は、次のように書くこともできます。

 

We would like to have further details.

さらに詳しいことについて知りたいと思います。

 

問い合わせの経緯や製品に興味を持っていることを伝えたら、相手先に対する具体的な要望を書きます。

 

We would be grateful if you could send us your catalog and price list.

貴社のカタログと価格表をご送付いただければ幸いです。

We would also like to know if you could quote your best prices.

また、最大限どの程度までお値引きいただけるかもお知らせいただけますでしょうか。

解説
「grateful」は「ありがたい」「感謝して」で、「We would be grateful if~」は、「もし~いただけるなら大変ありがたいです」という意味です。「We would be grateful if~」の代わりに、「We would appreciate it if~」を使っても、ほぼ同じ意味を表すことができます。

 

「send+人+~」で「人に~を送る」という意味です。ここでは「catalog(カタログ)」と「price list(価格表)」を送ってほしいと告げています。ちなみに「catalog」というスペルはアメリカ式でイギリス式では「catalogue」となります。「brochure/pamphlet(パンフレット)」や「reference(参考資料)」、「quotation(見積書)」などに置き換えることもできます。また、製品によっては「sample(サンプル)」を送ってほしいと要求する場合もあるでしょう。

 

「We would like to know~」は直訳すると「~を知りたいと思う」という意味ですが、相手先に「~を教えてほしい」という場合によく使われるフレーズです。「Please let us know~」でも、同様の意味を表すことができます。

 

「if you could~」は、ここでは「御社が~できるかどうか」という意味です。

 

「quote」は「引用する」などの意味で使われることも多いですが、ここでは「値段をつける」という意味です。ちなみにその名詞形である「quotation」は、「引用」と「見積り」という2つの意味があります。

 

「best price」は「最適な値段」、つまり問い合わせる側から見ると、基本的には「最低価格」ということになります。

 

支払条件について知りたい場合は、次のように書くことができます。

 

We would also like to know terms of payment for the products.

また、製品の支払条件もお知らせいただければと存じます。

注文の例文

カタログ等を受け取って、価格などの条件面で納得できれば、注文に進みます。

 

We thank you very much for sending us your catalog.

カタログをお送りいただき、ありがとうございました。

We would like to order three dishwashers.

皿洗い機を3台注文いたします。

We will enclose your order form for immediate delivery.

早急にお届けいただくため、御社の注文書を同封します。

解説
「order~」は「~を注文します」という意味です。「place an order for~」という表現も使えます。「place an order with A for B」の形で、「AにBの注文をする」という意味を表すことができます。例文では、単に皿洗い機を3台注文することだけを述べていますが、実際には注文数やサイズなども告げることが多いです。例えば、女性用Tシャツを注文する場合、次のような表現ができます。

 

We would like to place an order as follows;(下記のとおり注文いたします)

 

1,000 T-shirts for Ladies (女性用Tシャツ1000枚) one size fits all (フリーサイズ)

 

※「one size fits all」は、「すべての人に会う1つのサイズ」という意味で、日本語の「フリーサイズ」に当たります。ちなみにフリーサイズは全くの和製英語なので、海外では通用しません。

 

「enclose」は「同封する」という意味です。

 

「immediate delivery」は「即時渡し・即納」といった意味です。「for immediate delivery」は直訳すると「至急の配達のために」ですが、すぐに配達してほしいことを伝えるときに使われます。

 

We require the product for immediate delivery.

その製品を至急配達してほしいです。

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