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ビジネス英語での交渉(問題点の抽出・妥協点の模索)

交渉過程においては、両当事者間の主張がぶつかり合うのが普通です。双方とも少しでも有利な立場を確保しようとするので、時に激しい駆け引きが展開されるものです。しかし、議論が過熱すると問題点が見えづらくなったり、話が本筋から外れてしまうことも珍しくありません。ここでは、そのような状況に対処する場合に使える英語表現を解説します。「①問題点を抽出する」、「②相手の意向を探る」、「③妥協点を模索する」、「④結論を確認する」の4つに分けて解説します。

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問題点を抽出する

議論が交錯したときには、まず、問題点を抽出します。その場合、主に次のような表現が使われます。

 

Shall we analyze the situation and get the problem now?

では、状況を分析して、問題点を把握しましょうか。

What is the essential problem?

根本的な問題はなんでしょうか?

解説
「Shall we~」は、「~しましょうか?」と相手に提案する際に使う表現です。

 

「analyze」は「分析する」。「analysis(分析)」の動詞形です。ちなみに「analytics」は「分析論・分析性」という意味です。

 

「situation」はここでは、「状況・状態」という意味です。置かれている「立場」や「境遇」、「立地条件」などの意味でも使われます。

 

The building stands in a fine situation.

その建物は、立地が良い。

「situation」の類義語としては、「condition」や「circumstance」があります。

 

「get the problem」は、直訳すると「問題を得る」ですが、ここでは「問題を把握する」ことを示しています。「problem」以外で「問題」を表す単語には、「matter」「issue」「question」などがあります。ちなみに「hot potato」は、文字通り「焼いたジャガイモ」のことですが、「厄介な問題」や「困難な状況」という意味の口語表現でもあります。

 

The issue is a hot potato.

これは厄介な問題です。

「問題の核心に触れる」と言いたい場合は、「get to the heart of a problem」と表現できます。

 

なお、シンプルに「要点を理解する」と言いたい場合には、「get the point」が使われます。

 

Can you get the point?

要点をご理解頂けましたか?

「問題を片付ける」は、「get the problem out of the way」です。「out of the way」は、「邪魔にならないところに」「道から離れて」などの意味です。

 

Put that chair out of the way.

その椅子をどけてください(邪魔にならないところに置いてください)。

The shop is out of the way.

その店は、へんぴなところにあります。

「essential」は「本質的な」。欠かすことのできない重要なことを指して使うことが多いです。

 

ある程度、問題点が見えてきたところで、特定の問題に話を絞り込みたいときは、次の表現が使えます。

 

Let’s focus on problems of costs.

コストの問題に話を絞りましょう。

解説
「focus on~」は「~に焦点を当てる・絞り込む」という意味のポピュラーな表現です。「絞り込む」と言う場合は、「narrow」も使えます。「narrow」は「狭い」「狭める」という意味です。例えば 「narrowcasting(ナローキャスティング)」は、ある程度限定した視聴者を対象に行う放送のことですが、ビジネスでは、広告や販売をターゲットを絞り込んで行うことも指しています。反意語は「broadcasting(ブロードキャスティング)」です。

 

話題が本題から外れていると思われる場合は、次の表現で話を整理することもできます。

 

Let‘s return from the digression.

本題に立ち返ましょう。

Let’s discuss the matter later.

その件は、後で話しましょう。

Let’s leave this matter for the moment.

この問題は、とりあえず置いておきましょう。

解説
「digression」は「話の脱線」という意味です。ちなみに、「線路の脱線」は、「derailment」を使います。

 

「discuss」は「話し合う」。名詞形は「discussion(討議・話し合い)」です。「talk」に置き換えることもできます。

 

「later」は「後で」という意味で、基本的には文章の一番後ろに置くことが多いです。例えば「また後で会いましょう」は「See you later.」です。

 

「for the moment」は「いまのところは・さしあたっては」といった意味です。なお、「当分の間」という意味では、「for the time being」もよく使われます。

相手の意向を探る

問題点を明確にしたうえで、今度は、相手の意向を探っていきます。その際には、主に次のような言い回しが使われます。

 

May I ask what makes you think so?

そのようにお考えになる理由を伺ってもよろしいですか?

Could you tell me the base of the price quotation?

お見積価格の根拠を教えていただけますでしょうか?

解説
「May I ask~?」は、「~してもよいですか?」という相手に許可を求める表現です。

 

「what makes+人+~」は「なぜ(人)が~するのか」という意味です。直訳すると「何が(人)にを~させるのか」ですね。「~」の部分には、動詞や形容詞が入ります。

 

What makes you laugh?

なぜ笑うのですか? 

What makes you so sad?

なぜそんなに悲しいのですか?

なお、「why」や「what makes」の代わりに、「how come」を使う方法もあります。

 

How come you are so tired?

なぜそんなに疲れているのですか?

「think so」は「そう思う」です。「私もそう思います」は、「I also think so.」です。

 

「Could you ~?」は、「~していただけますか?」という丁寧な依頼の表現です。親しい相手であれば、「Can you~?」も使えます。

 

「tell」は「告げる・話す」と訳されることが多いですが、何か情報を教える(伝える)という「teach」に近い意味で使われることもあります。

 

Please tell me your impression.

あなたの印象を教えてください。

I will tell you how to get his office.

彼の仕事場への行き方を教えます。

「base」は、「foundation」と同様に、「基礎」という意味がよく知られていますが、建物などの「土台」や「付け根」を指すこともあります。ここでは、物事の「根拠」という意味です。「reason」に置き換えることもできます。

 

「price quotation」は「見積価格」のことです。「quotation」の一語でも「見積り」という意味を持っています。また、「quotation」には「引用」という意味もあります。また「引用文」は「quote」です。ちなみに、歴史的な偉人などの名言を紹介するウェブサイトに「quote」というタイトルが使われていることがあります。例えば「Thomas Edison quotes」などです。この場合は、よく引き合いに出される名言といった意味で「quote」が使われているようです。なお、「cite」にも、「引用する」「引き合いに出す」という意味があります。

 

具体的に条件を聞き出す場合は、次のような表現があります。

 

What are your conditions for accepting our proposal?

当社の提案を受け入れていただくための御社の条件はなんでしょうか?

解説
「What+be動詞+~?」は、「~は何ですか?」と尋ねるときに使われる典型的な表現です。例えば「明日の予定はなんですか?」は、「What is your plan tomorrow?」です。

 

「condition」は、日本語でも「コンディションが悪い」などと表現されるように、「状態」という意味で使われることも多いです。ただし、ここでは「条件」という意味を表しています。例えば、「交換条件を提示する」は、「propose conditions for exchange」などと表現できます。他に「条件」という意味の英語表現としては「requirement」や「terms」などがあります。「~するための条件」は、「conditions for ~ing」で表現できます。

 

「accept」は、「受け入れる、承諾する」などの意味です。例えば、要望を受け入れるときには、「We will accept your request.(ご要望に応じます)」などと表現できます。また、「accept」の類似表現としては、「agree(同意する)」「admit(承認する)」などがあります。

 

「proposal」は「提案」という意味です。「offer」や「suggestion」も同じような意味で使われます。

妥協点を模索する

相手の意向を確認した後、互いに妥協点(compromise)を見出す作業に入ります。その際には、主に次のような言い回しが使われます。

 

Let’s seek common ground while reserving differences

相違点は留保し、一致できる点を探りましょう。

If you agree to review the price, we can have an agreement.

価格を見直していただければ、合意は可能かと思います。

If you increase the size of the order, we can discount.

注文数を増やしていただければ、お値引きは可能です。

We can’t compromise on the price, but we can review the payment conditions.

価格は妥協できませんが、支払条件は検討可能です。

解説
「seek common ground」は、「一致できる点を見出す」という意味です。

 

「while reserving differences」は、「相違点はとりあえず触れずに」と言ったニュアンスで使われます。

 

「if ~」は、「もし~ならば」というときに使われる仮定の表現です。交渉のときには、条件提示などで使うことが多い表現ですので、覚えておくと便利です。

 

if necessary

必要ならば

if there are any problems / if there are no problems

問題があれば/問題がなければ (problemsはdifficultiesやquestionsに置き換え可能)

if possible

もし可能であれば(できれば)

if you like

よろしければ(お好みであれば)

「agree to~」は、「~することに同意する」といった意味です。ちなみに、「人に同意する」場合には、「agree with~」を使います。

 

ここでは、「review(見直す)」が「agree to」の後に続いていますので、「見直しに同意頂けるなら」といった意味になります。

 

「review」は、「見直す・検討する」などの意味です。あるいは、「批評する」という意味でも使われます。日本語でもインターネット上で商品などの批評をすることを「レビューする」などと言いますね。

 

「have an agreement」は、「合意に達する・契約する」などの意味です。「agreement」は、上に出てきた「agree」の名詞形です。

 

「increase」は、「増やす」という意味です。「augment」「raise」も同じく「増やす」という意味です。反対に「減らす」は「decrease」「reduce」です。

 

「size」は、洋服などのサイズつまり「大きさ」のことですが、数や量に対しても使えます。

 

size of workforce / workforce size

従業員数

size of a meal

食事の量

なお、「~の数」と言う場合は、「the number of~」や「~quantity」といった表現も使えます。

 

「discount」は「値引きする・割引する」。例えば「3割引する」は「discount 30%」あるいは「give a discount of 30%」などと表現できます。

交渉をまとめる

妥結点が見えてきたところで、合意できた内容、あるいは合意に至らなかった内容などの交渉のまとめに入ります。

 

Shall we summarize what we’ve agreed today?

今日、合意したことをまとめましょうか?

Let’s run through what we’ve agreed.

合意点を振り返っておきましょう。

解説
「summarize」は、「まとめる・要約する」という意味です。「sum up」や「wrap up」でも同じような意味を表すことができます。

 

「what we~」で「私たちが~こと」という意味です。例えば「私たちが次にやるべきこと」は、「what we should do next」などと表現できます。

 

「run through」は、ここでは「おさらいする・要約する」などの意味です。「go over」も同じような意味で使えます。

 

合意点等を確認したら、契約書作成に関して確認し、交渉を締めくくります。

 

We’ll write the draft agreement and send it to you.

当社で契約書案を作成し、御社にお送りいたします。

解説
「write」は「書く」ですね。

 

「draft」は「草案」「原稿」という意味です。

 

「send ~ to+人」で「~を人に送る」となります。「send+人 ~」と同じです。ただしこの場合は、「to」は不要です。

 

Please send us the product.

その製品を当社に送ってください。

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