ビジネス英語での会議の始め方
会議は、英語を使う場面の中でも特に緊張するという人が多いようです。確かに会議では、自己紹介や名刺交換などに比べれば高度な表現が登場します。最初のうちはついて行くのが難しいかもしれませんが、決まった表現をおぼえておけば、それを手がかりに会話の流れをつかめるようになっていきます。日本では、会議のときに発言が多い人は煙たがられる傾向にありますが、欧米では、積極的に発言しないとい仕事への取り組みが薄いとみなされることもあります。ぜひ、1つでも多くの表現をおぼえて積極的に使ってみましょう。ここでは、「①会議前の軽いあいさつ・スモールトーク」、「②会議の開始」、「③議事・進行を伝える」の3つに分けて解説します。
会議前のあいさつ・スモールトーク
会議によっては、他部署や他社の社員など、日ごろは顔を合わせない人たちと同席することもあります。顔を知っている人はもちろん、初対面の人に対しても、簡単なあいさつやちょっとしたスモールトーク(世間話・雑談)ができるようにしておきたいものです。
※初対面のあいさつはこちらを参照してください。
久しぶりに会った人に対しては、次のように声をかけることが多いです。
It’s been a long time.
(お久しぶりです。)
It's great to see you again, Mike.
(会えてうれしいよ、マイク。)
「It’s great to see you again.」は、直訳すると「あなたにもう一度会うことはすばらしい」となります。再会したときのあいさつとして一般に使われる表現です。
同じような意味で使われる表現としては、「It’s wonderful to see you again.」や「I'm glad to see you again.」があります。
また、カジュアルな表現としては、「Glad to see you again.」や「Nice to see you again.」などがあります。
一般的に、初対面、つまり初めて会うときにはmeetを使いますが、2回目以降はseeを使いますので、あわせておぼえておきましょう。
単に「久しぶり」と言うだけでなく、前回会った時期を確認し合うこともあります。
Since the end of last month, right?
(先月末以来ですよね?)
The last time we met was last year in December.
(去年の12月にお会いして以来ですね。)
rightは、この場合、「右」ではなく、「正しい」という意味です。ただし、ここでは、「~ですね?」と相手に確認する意味で使われています。(以下の例文は参照)
This is beautiful, right?
(これ、きれいでしょ?)
英語圏でも、日本と同じように、挨拶を交わした後、相手の様子を伺うことが多いです。その場合は、次のような表現を使います。
How have you been (doing)?
(いかがお過ごしですか?)
What have you been up to?
(最近、どうされてました?)
また、「(仕事の)調子はどう?」と尋ねるときには、「How is your business?」あるいは「How is your business going?」などの表現を使います。
何かの様子を尋ねるときには、「How is ~? / How was ~?」とすれば通じます。例えば、風邪を引いていた友人に対してその後の様子を尋ねるなら、「How is your cold?」と言います。coldは、「冷たい・寒い」という意味ですが、名詞として使うときには「風邪」を指します。ちなみに「風邪を引く」は、「have a cold」あるいは「catch a cold」です。
なお、様子を伺う質問をされたときの返し方ですが、例えば「ボチボチ(まあまあ)ですね」に当たる表現として、「Not bad.」や「It’s just OK.」などがあります。
あるいは「So so.」という表現もあります。これは、「まあまあ」という意味ですが、どちらかと言うと、「あまり良くない」というニュアンスの方が強いので気をつけましょう。この場合、身体の前に片方の手を水平に突き出し、手のひらを下に向けて飛行機がふらふらと飛んでいるようなジェスチャーを伴うことが多いです。ただし、相手によっては失礼になることもありますので、まずは親しい人に対して使う方が無難でしょう。
会議の開始
会議を始めるときには、まずは、参加者に集まってくれたお礼を言います。
Thank you for coming today.
本日はお越しいただきありがとうございます。
例えば「ご参加頂きありがとうございます」と言いたいなら、「Thank you for joining us.」となります。
「時間を割いて」参加してくれたことに感謝する場合は、「Thank you for taking time to join us.」となります。
丁寧さを出したいときは、この文章の前に「I’d like to ~/I would like to」をつける方法があります。これは、日本語の「~させて頂きたい」というニュアンスに近い表現です。
なお、感謝に気持ちを表す際、「thank you」の代わりに、下記のように「gratitude(謝意)」や「appreciate(感謝する)」、あるいは「grateful(ありがたい)」を使うと、より丁寧な印象を与えることができます。
I would like to express my gratitude for your cooperation.
ご協力に謝意を申し述べます。
I appreciate your cooperation.
ご協力に感謝いたします。
I am grateful for you cooperation.
ご協力に感謝いたします。
お礼を述べたら、次に、会議の開始を宣言します。
If we are all here, shall we start?
みなさん、おそろいでしたら、はじめましょうか?
「Shall we~」あるいは「Shall I ~」は、「~しましょうか?」という提案のための表現です。
ちなみに「Shall I~?」と似た意味の表現に「May I~?」や「Can I~?」があります。
「May I~?」は、「~してもよいでしょうか?」というように相手に許可を求めるときに使います。例えば「May I ask your name?」は、「お名前を伺ってもよろしいですか?」という意味です。
「Can I~?」も、やはり相手に許可を求める表現ですが、「May I~」よりカジュアルな感じになりますので、家族や友人など親しい人に使うことが多いです。
また、少しカジュアルに表現するなら、「Let’s~」を使うのもよいでしょう。
startは、「始める」という意味でよく知られている英語表現ですね。会議や学校の授業など大勢の人に向けて「始めましょう」と呼びかけるときには、「get started」という表現が使われることが多いです。
Let’s get started.
さぁ、はじめましょう。
Let’s start the meeting.
会議を始めましょう。
会議の開始を告げる正式な言い回しとして、「I declare~」という表現もあります。「I declare the meeting open.」と言うと、「開会を宣言します」という意味になります。declareは、「宣言する」を意味する単語です。
議事・進行を伝える
開始の宣言をしたら、議題に入ることを参加者に告げます。
Let’s get down to business.
本題に入りましょう。
Let’s talk about three items today.
本日は、3つの議題について話しましょう。
businessと聞くと、まずは「商取引」や「商売」や「事業」という意味を思い浮かべると思います。もちろんそうした意味もありますが、ここでは、「課題」「やるべき事柄・話し合うべき事柄」という意味です。上記の例文では、businessの代わりに「things」「items」「issues」なども使えます。
また、「審議事項」とか「議事進行表」という意味で、「agenda」という表現もよく使われます。
businessは、それ以外に、個人的な事柄という意味で使うこともあります。例えば「That is not your business.」は、直訳すると「それはあなたの問題ではない」ですが、「(この件に)関わらないで」という意味になります。
ついでに言うと、businessには、「会社」という意味もあります。
「small business(小企業)」「small and medium-sized business(中小企業)」「big business(大企業)」といった具合です。
次に、会議の目的を簡単に述べます。
The aim of this meeting is to discuss the sales promotion of our exiting products.
今日(の会議)の目的は、既存製品の販売促進について話し合うことです。
discussは、「話し合う」や「議論する」という意味です。2つ以上の立場に分かれて討議する場合は、debateを使うとよいでしょう。また、互いに証拠や理由などを挙げて主張を展開し合う場合や「口論する」といった場合には、argueが用いられます。
sales promotionは「販売促進」という意味です。Sales promotionは、マーケティングの中核概念である4P、すなわち「product(製品)、price(価格)、place(立地や流通経路)、及びpromotion(促進)」のうち、最後のpromotionの一部として位置付けることができます。なお、上記の4Pを最適に組み合わせることをマーケティングミックス(marketing mix)と言います。
「新製品」を「new product」と言うのに対し、「既存製品」は「existing product」と言います。productは、「(工業)製品」や「商品」を示すポピュラーな表現です。それ以外にも、「商品」を表す単語としては、「commodity」「goods」「item」「merchandise」などがあります。なお、「農産物」の場合には、productよりもproduceという単語(名詞)を使うことが多いので、おぼえておくとよいでしょう。
目的を告げた後、会議の進行予定について参加者と情報を共有します。
Please look at the agenda in front of you.
お手元の進行表をご覧ください。
The first issue is a sales report.
最初に、売上報告を行います。
Let’s take a 15-minute break after the first session.
最初の話し合いの後、15分の休憩をとりましょう。
最後の30分は、質疑応答とします。
The final 30 minutes will be for questioning and answering.
[in front of ~は「~の前」という意味です。
sales reportは、「売上報告」。reportは、「報告する」という意味の動詞としても使えます。例えば、「She reported the results of the investigation.」は「彼女は調査結果を報告した」です。
take a breakは、「休憩をとる」。breakは「壊す」という意味の動詞ですが、名詞で使う場合は「休憩」という意味になります。また、breakの前に「10-minutes」「1-hour」「 one and a half hours(一時間半)」など具体的な時間を入れることもできます。なお、休憩時間を表す場合は「15-minute break」のように「-」を用いて表現することが一般的です。
sessionは「会議」「会合」の意味です。