ビジネス英語でのプレゼンテーション
英語という母国語でない言語でプレゼンテーションを行うのは、それだけでも緊張を伴うものです。しかし、プレゼンテーションは、会議や交渉と違って、事前にそれなりの準備時間もありますし、ある程度は、自分のペースで進めることができます。また、決まった表現も数多くありますので、それらをおぼえておくとかなり楽に進めることができます。ここでは、「①最初のあいさつ」、「②テーマと全体の流れを知らせる」、「③自社の紹介をする」、「④製品やサービスの紹介をする」の4つに分けて解説します。
最初のあいさつ
プレゼンテーションの最初のあいさつで使用する表現です。まずは、参加者に対して、集まってくれたことへのお礼を述べます。
Thank you for coming today.
本日はお越しくださりありがとうございます。
My name is Yumi Yamada. I belong to marketing department.
私は、ヤマダユミと申します。マーケティング部に所属しています。
I’m very pleased to welcome you.
みなさまをお迎えできて、大変うれしく思います。
プレゼンテーションのように大勢の前で自己紹介するときは、「My name is~」を使うのが一般的です。少人数での自己紹介でない限り、「I am~」は避けたほうが無難です。
「belong to~」は「~に所属する」という意味です。「marketing department」は「マーケティング部」です。「department」というと、「department store」すなわち、百貨店やデパートを思い浮かべる人も少なくないと思いますが、ここでは「~部」という意味です。「division」も「~部」という意味で使われています。「部」をどう呼ぶかは会社や組織によって異なります。
「be pleased to~」は「~できてうれしい」という意味です。「very」をつけるとさらに感謝している気持ちが伝わりやすくなります。「pleased」を「satisfied」に変えると、「~できて満足している」という意味になります。
「welcome」というと「ようこそ」という意味を思い浮かべる人が多く、また、「You are welcome.」には、「どういたしまして」という意味があることもよく知られていますね。ただし、ここでは「迎える」という動詞として使っています。
テーマと全体の流れを知らせる
最初のあいさつを終えたら、プレゼンテーションのテーマを告げます。
Today, I’d like to talk about new product development.
本日は、新製品開発についてお話ししたいと思います。
The aim of this presentation is to inform you about our product strategy.
このプレゼンテーションの目的は、当社の製品戦略をみなさんにお知らせすることです。
「talk about~」は、「~について話す」という意味です。「speak about~」も同じ意味です。
「new product development」は「新製品開発」。「development」は「発展」のほか「開発」という意味でも使えます。
なお、「research and development」といえば、いわゆる「R&D」、すなわち「研究開発」を意味します。
「aim」は「狙い・目的」です。「the aim of~」で「~の目的」の意味です。「purpose」も同じく「目的」を示す言葉です。
「inform 人 about~」で「人に~を知らせる」という意味です。「tell 人 about~」も同じように使えます。この場合、「about」を「of」に変えてもほぼ同様の意味になります。
「product strategy」は「製品戦略」です。「product(製品)」は、マーケティングの中核概念である4P、つまり、「product(製品)・price(価格)・place(立地や流通経路)・promotion(促進)」のうち、「product」に関わる戦略です。これら4Pを最適に組み合わせることをマーケティングミックス(marketing mix)と言います。
ちなみに「production strategy」は「生産戦略」となり、製品戦略とは違う概念を表すことになるので、要注意です。
次にプレゼンテーションの全体の流れを伝えます。
At first, I will introduce briefly our company.
最初に当社について簡単にご紹介いたします。
And then go on to describe our new product.
次いで、当社の新製品についてご説明いたします。
This presentation is scheduled for about 1 hour.
プレゼンテーションは1時間の予定です。
「introduce」は「紹介する」です。例えば「自己紹介させてください」は、「Let me introduce myself.」と言います。通例、「introduce A to B」の形で、「AをBに紹介する」という意味を表します。ただし、「introduce a new product into the market」という場合は、「新製品を市場に出す」という意味を表します。
「briefly」は「簡単に」です。要点をかいつまんで話すときは、「to put it briefly(簡単に言えば)」などと言います。なお、「briefing」は、「手短な報告(会)」を意味しています。
「and then」は、「それから」あるいは「その後」というときに使います。ちなみに、「next(次に)」と言って、次の内容を話すこともできます。
また、話題の順番を示す場合、「1番目は~、2番目は~、3番目は~、そして最後に~」と言うこともできます。その場合は、「firstly~、secondly~、thirdly~」と続け、最後は「and lastly~」で締めくくるとよいでしょう。「lastly」は「in the final part」とも言えます。
「go on to~」は、ここでは「次に~をする」という意味で使われていますが、「進学する」「~にとりかかる」「~に立ち入る」という意味もあります。
His son will go on to college this spring.
彼の息子は、今年の春に大学に進学する。
I will explain how to use the software.
ソフトの使い方をご説明します。
「our company」は「当社」。主語の場合には「we」、 目的語の場合には「us」と表現することもできます。
自社の紹介をする
プレゼンテーションで、自社の紹介をするときには、次のような表現が使えます。
Our company was established in 1970 as a telecommunication equipment manufacturer in Tokyo.
当社は、1970年に東京で通信機器メーカーとして設立されました。
We have almost 50 years of experience in this trade.
この業界では、50年ほどの経験があります。
This school was founded in 1900.
この学校は、1900年に設立された。
We will organize a new company.
新会社を設立する。
また、創業当時のことを説明する場合は、「start」を使うこともできます。例えば、「町工場として創業した」は、「We started as a small factory in town.」となります。
「as~」は「~として」という意味です。
「telecommunication equipment」は「通信機器」。「equipment」は「機器」という意味で「device」や「instrument」も使えます。
「manufacturer」は「製造業者・メーカー」という意味です。「maker」や「producer」も使えますが、規模が大きい場合には、「manufacturer」が使われます。
「in this trade」は「この業界で」という意味です。「trade」は、「商売」のほか、「業界」という意味で使われることもあります。例えば、「カメラ業界」は、「camera trade」、「タクシー業界」なら「taxi trade」です。また、「営業」という意味もあります。「trade secret」は「営業秘密・企業秘密」のことです。ただし、「trade union」となると、「労働組合」という意味になるので、要注意です。
他に「業界」という意味の英語表現には、「industry」「business circles」「business world」などがあります。
本社や支社の場所を伝える場合は、下記のような表現が使えます。
Our headquarters is located in Tokyo.
本社は東京にあります。
We have three branches in Asia.
アジアに3つの支社があります。
「be located in~」で「~にある・~に位置する」という意味です。ここでは、都市に位置しているということで、前置詞は「in」を使っていますが、前置詞を変えることで、様々な位置を示すことができます。 (例) be located above~ ~の上に位置する be located along~ ~沿いに位置する be located below~ ~の下に位置する
「branch」は「支社」のことです。「支店」は「branch store」と言います。また、「親会社」は「parent company」や「holding company」が、「子会社」は「subsidiary」が使われます。
「~があります」という表現としては、「there is (are)~」を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、「we have~」を使うことも多いです。例えば、「今、時間ありますか?」と尋ねるときは、「Do you have time now?」と言います。ただし、「Do you have the time?」となると、「今、何時ですか?」と時間を尋ねる表現になるので、注意が必要です。
製品やサービスの紹介をする
製品を紹介する表現としては、以下のものがあります。
We offer a wide variety of products.
当社では、幅広い製品を提供しています。
We also produce peripheral devices.
また、周辺機器も生産しています。
The “ABC” became a hot selling product.
「ABC」は、ヒット商品となりました。
「a variety of~」で、「様々な~」という意味です。ここでは、「wide」が入っていますので、「幅広く様々な製品を提供している」となります。「a variety of」は、「various」や「varied」に置き換えることも可能です。
「also」は「~もまた」と言いたいときに使います。
「produce」は「生産する・製造する」という意味です。ただし、「produce」が名詞として使われている場合には、「農産物」を意味することが多いので、注意が必要です。
「~を取り扱っている」と言いたい場合には、「deal in~」を使うとよいでしょう。
We deal in its peripheral devices, too.
当社は、その周辺機器も取り扱っています。
「hot selling product」は「ヒット商品」という意味です。「hit product(ヒット商品)」や「megahit(大ヒット商品)」などという表現もあります。ベストセラーは、英語でも「bestseller」という表現を使います。会社の売り上げの根幹を占めるような中核商品は、「cash caws(金のなる木)」と呼ばれています。
ちなみに、ヒット商品などが「飛ぶように売れる」は、「go like hot cakes」と言います。「go」の代わりに「sell」も使えます。ホットケーキのように行ってしまうというのは面白い表現ですね。
なお、今が旬の「売れ筋商品」は「first moving item」。 逆にあまり売れなくなってきている商品、すなわち「死に筋商品」は「slow moving item」と言います。